いつも仕事帰りに肌の診察と工ステに来ていた彼女が、突然ある日、平日のはやい時間にあらわれて、息せききって言いました。
「来週、学校のほうで、英語の弁論大会があるんです。
私、審査員として出るんですけど、ちょうど生理前に、ぶつかっちゃって、肌がボ口ボロなんです。
いつもの工ステより、もっと強いコースにしてくたさい」手にあふれんばかりの本と書類を抱えて、彼女は訴えてきます。
「お忙しそうですね」「毎日、その準備で、三時間しか寝てないんです。
そのせいもあって、ふだんの生理前よりも調子が悪いんです」「そういうときに、強いコースをやるのは、ちょっと、どうかと思いますよ」「でも、なんとかしないと、このままじゃ外に出ることもできません」「今日は、いつもあなたを担当している工ステティシャンもいないし・・」「ほかの人でもかまいません。
私、このために、なんとか午前中だけ時間作ってきたんです」そこまで言われるとしかたなく、なんとかコースを考えて工ステを開始してみました。
しかし案の定、彼女の好みを把握していなかった工ステティシャンは、タオルの巻き方から何から何まで叱られどうし。
工ステルームから何度か彼女のどなりつけるような声が聞こえてきました。
その日はなんとか丸くおさめてお帰りいただき、別の機会に彼女と話をしてみました。
先日の件は、工ステティシャンの手技はお気に召さなかったものの、翌日から肌の調子は少し回復したらしく、結果オーライであれば、あとには引きずらない彼女です。
「生理前に体調が悪くなるのを、東洋医学では、痕血っていうんですよ」彼女の機嫌がよさそうなので、少し話をしてみました。
「黄体ホルモンの影響じゃないんですか?」彼女は原因をきちんと医学的に理解しようとする方です。
「そうですけど、黄体ホルモンを測っても、異常があるわけではないでしょう。
西洋医学的には、月経前緊張症候群というのは、原因がよくわかっていないんです。
東津医学では、痕血といって、生理前に血の循環が悪くなることが関係してるととらえるんです」「ストレスのせいって言われました」「そうですね。
ストレスで気のめぐりが悪い人は、血のめぐりも悪くなるので、よけい痕血になりやすいんですよ」彼女は自分の不調について理解できたので、とても安心したようでした。
Y子さんには、加昧遇遥献という漢方薬をのんでいただくことにしました。
生理前のイライラが強い人にはとてもよく効く処方で、イライラ、たけでなく、肌の調子もよくなります。
また、サラダとパンを中心とした海外生活時代からの食生活も、徐々に体を温めるような食べ物、たとえばごはんとかぼちゃの煮物のような温野菜中心に改めていただきました。
ミ二のタイトスカートも、体をしめつけて血行を悪くするのと冷えの原因になるのでよくないとお話ししました。
彼女にとってはこだわりのあるファッションたったので、その点はなかなか変えていただけなかったのですが、生理前だけは、きつくないパンツスタイルにしていただきました。
痕血を改善して、透明感のある素肌に最近肌がくすんでお化粧のノリもよくありません。
高価な美容液も使ってみましたが、まったく効果がないようです。
(30歳・OL)「血行が悪い」ことで悩んでいる女性は多いことでしょう。
血行が悪いと、冷え性、頭痛、生理痛、肩こりなどの症状があらわれるのですが、これらのどれもがあてはまらないという人の方が少ないのではないでしょうか。
生理のある年齢の女性、すなわち二十代から四十代くらいの女性には、人によって程度の差はあれ、多少なりとも痕血の傾向、がみられるようです。
たしかに生理周期のなかで、血の状態が大きく変化するので、どうしても血のうつ滞、すなわち痕血を招きやすいのです。
それに加えて、最近の女性の痕血の原因となっているのが「冷やす生活」です。
「生足」、「ノースリーブ」「ヒップハング」などの露出傾向のファッションに加えて、夏は工アコンのなかですごし、冬でも冷たいサラダを食べ、氷の入ったものを飲む…。
時代の流れ全体が、「冷やす」(な)方向に向かってしまっているかのようです。
「冷えは万病のもと」などと口をすっぱくして言っても、なかなかファッション重視の若い女性には耳を貸してもらえませんが、冷えを軽視していると、積み重なって痕血を招き、肌までもあらしてしまうのです。
その影響は、二キビ、シミ、クマ、さめ肌、静脈瘤などのほか、いろいろな湿疹の形であらわれることもあります。
皮膚は、血から栄養をもらっていますので、痕血すなわち血の流れが滞ると、肌の代謝がさまたげられます。
当然、くすみやすくなりますし、血色も悪くなるので顔色がさえなくなります。
化粧のノリが悪くなることもあるでしょう。
鏡を見ると、クマが目立っていたり、肌がくすんでいたという経験はありませんか。
アトピー性皮膚炎も、痕血によって悪化することがあります。
せめて婦人科のツボを冷やさないよう心がけてください。
これを本当に改善しようと思ったら、肌の外側からではなく、内側から治さなくてはなりません。
夏でもおなかと腰まわり、それから足元も冷やさないように注意します。
私の病院の患者さんでも浅いショーツにノースリーブで生足、という格拐の方をよくみかけます。
そのような方はきまって肌色も全体にくすみがちで、舌を見せていたたくと、原斑といわれる紫色の斑点が見られることがあります。
これが痕血のサインなのです。
きれいな素肌のためには、暑い夏でも冷え性対策が必要なのです。
漢方でやせられますか?漢方で、長年悩んでいた湿疹が治って感激。
これほど効果があるなら、きっとダイエットの特効薬もあるのではないでしょうか。
(沼歳・主婦)「先生、漢方ってすごいですね。
長年原因不明と思っていた足の湿疹が、ウソのように治りました」「よかったですね」「ねえ、先生、こんなにすごいものならば、秘密のやせ薬もあるんじゃないですか?」こういう質問は、じつによく受けます。
結論からいうと、これを飲めば一カ月に何キロやせる、という漢方薬はありません。
ただ、ある種の肥満には、有利なこともあるようです。
だるい↓動かない↓太る↓、だるい…という悪循環に陥っている人、いませんか?東洋医学的には、だるさは気虚、血虚、水書などのときにおこると考えられていますので、それらの改善処方を用いるとよいのです。
この女性もそのタイプでした。
この方は、初めて受診されたとき、電話をかけてからいらっしゃいました。
「初診で、今日、うかがいたいのですが、おたく、階段、ありますか?」「少しありますけど」「階段って、入り口のですか?「何段くらいですか?」「十段ちょっとでしょうか・・・・・・」「えっ0・「それくらいならなんとかなるかしら。
私、階段がたくさんあるとこ、行かないんです」足が悪い方がお見えになるかと思いきや、かなりお太りの中年女性がおいでになりました。
足の診察をするのに、ベッドに上がるのもたいへんそうです。
「ひざが、お悪いんですか?」「これだけ太っているから、とうぜん痛いですけど、接骨院のかかりつけの先生のところが混んでいて、行くのもおっくうで…」「でも、がまんして歩かないと、よけい悪循環じゃないですか」「そうなんですけどねえ・・・・・・」「運動するようにはいわれてないんですか?」「プールに行くようにいわれているんですけど、太っているから恥ずかしくて、水着は着られないし。
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